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デジタル時代のフレームワークAARRRから考えるECサイトの運用方法
2024
.04.02
「AARRR」という言葉を聞いたことはありますか?マーケティング戦略にはAIDMAやAISASなど様々なフレームワークが存在しますが、AIRRRは2010年代に提唱された比較的新比較的新しいデータ分析のフレームワークです。webマーケティングの中でも特にグロースハックを行う上では欠かすことのできないもので、今日のデジタル時代において非常に重要な考え方となっています。
今回はAARRRの基本的な考え方について紹介し、活用方法についてECサイトを例に紹介した上で、メリットまでを紹介します。
【目次】
1. AARRRとは
2. ECサイトの運用におけるAARRR
3. AARRRを活用するメリット
4. 今回のまとめ
【目次】
AARRRとは
AARRRは、アメリカ サンフランシスコに拠点を置き、60カ国1800社以上のスタートアップに投資を行っている世界で最もアクティブなシード投資ファンド「500 Startups」の創業者Dave McClure氏が提唱しました。事業の成長段階を表す「Acquisition(獲得)」「Activation(活性化)」「Retention(継続)」「Referral(紹介)」「Revenue(収益)」の五つの頭文字をとったもので「アー」と発音します。
インターネットが普及したことで、ただ情報を得るだけの受動的な立場だった消費者の役割は大きく変化し、商品やサービスの評価についてSNSやECサイトのレビュー欄に書き込むことで消費者がプロモーションの役割を担うようになりました。
そのため、従来のマーケティング手法に加え、消費者自らが担う事業の成長戦略、いわゆる「グロースハック」への注目が高まっています。AARRRフレームワークは、このようなグロースハックを分析し、実施する上で有効なツールとしての地位を確立しています。
グロースハックとは
グロースハックは、スタートアップや成長期にある企業が、限られたリソースのもとで収益を急速に増やすための戦略です。この手法は、データ分析や製品改善、ユーザーエクスペリエンスの最適化を組み合わせた従来のマーケティングに代わるもので、SNSなどの口コミにより情報が爆発的に拡散される「バイラル効果」やユーザーの参加を促し、さらには新規ユーザーの獲得と既存ユーザーの活性化を目指すことができます。
ECサイトの運用におけるAARRR
AARRRは前述したとおり、事業の5つの成長段階を示す単語の頭文字をとったものです。ここでは、AARRRの活用方法について、ECサイト※を例に挙げ、確認しておきたいKPIとなる指標と取り組むべき施策を紹介します。
※WEB広告等を実施せずSEO対策のみでホームページへのアクセスを獲得しているECサイトを想定。
Acquisition(獲得)
確認する指標
オーガニック流入数、オーガニックキーワード数、オーガニックキーワード 等
取り組むべき施策(一例)
オンラインショップに掲載されているコンテンツについて、オンラインショップとは関係のない内容が含まれていないか確認した上で、オーガニックキーワードに最適化できるよう、コンテンツの修正または新たなコンテンツの投下に取り組む。
Activation(活性化)
確認する指標
閲覧時間、閲覧ページ数、滞在時間、コンバージョン数 等
取り組むべき施策(一例)
興味を持ってもらえるようなコンテンツが掲載されているか、UI/UXデザインにより離脱率を下げ、資料請求や商品購入などコンバージョンに繋げることができているかなどを見直す。
Retention(継続)
確認する指標
再訪問数、MAU(月間のアクティブユーザー)等
取り組むべき施策(一例)
カスタマーサポートの拡充や継続利用しているユーザーに対する特典の検討・提供を行うほか、動線設計や商品購入のステップの中でユーザーとの摩擦が起きていないか見直す。
Referral(紹介)
確認する指標
レビューの数、SNSの投稿数
取り組むべき施策(一例)
商品購入後の返信メールにレビュー促すメッセージを加えたり、ワンクリックでシェア可能な機能を実装したり、紹介特典などのキャンペーンを検討する。
Revenue(収益)
確認する指標
一人当たりの平均購入単価、平均購入数、会員登録者数等
取り組むべき施策(一例)
ユーザー数×単価を最大化させる効率的な施策として、商品の紹介文等の見直しや、セット売りなどのキャンペーンを検討する。
このようにAARRRを活用することで、これらのステップを一つひとつ分析し、ECサイトの運用において事業成長を加速させることができます。
AARRRを活用するメリット
AARRRは事業の成長段階を詳細に分析することのできるフレームワークです。ここではAARRRのメリットについて深掘りしていきます。
事業の成長段階ごとの課題が明確化して的確に施策を講じることができる
AARRRでは、段階ごとに目指すべき指標が示されているため、ECサイトを運営する上での課題が明確になります。週ごとや月毎にKPIを追うことによって、停滞していたり悪化している数値があれば、それらを改善するための施策を検討することができます。
事業の成長段階についてデータを元に詳細に分析することができる
AARRRを活用した場合、各成長段階を評価する上では担当者の経験や直感に頼ることなく数値を元に判断することが可能です。根拠に基づいた施策を講じることができるため、PDCAを回しやすく施策の精度が高めやすいと言えます。
製品やサービスのブラッシュアップにもつながる
AARRRでは、各成長段階においてユーザーの動向を細かく分析することができるため、小さな課題や潜在的な課題を一つひとつ解決することで、ユーザーに寄り添った製品やサービスの提供にも繋がります。
今回のまとめ
今回は、デジタル時代に生まれた新しいフレームワーク「AARRR」を通じて、ECサイトの運用方法を効率的に行う方法について解説しました。AARRRは「Acquisition(獲得)」「Activation(活性化)」「Retention(継続)」「Referral(紹介)」「Revenue(収益)」の五つのステップから成り立ち、各段階での具体的な指標から的確に施策を検討することが可能です。
このフレームワークの最大のメリットは、ECサイト運営の各段階でどのような施策に取り組むべきかが明確になる点です。それぞれの段階で特定のKPIを設定し、それに基づいて施策を講じることで事業の成長を加速させることが可能です。また、AARRRを用いることで、データに基づいて意思決定でき、直感や経験に頼ることなく効果的な施策の実施が可能になります。
ECサイトの運用では、特にオーガニック流入を重視する場合、SEO対策の重要性が高まりますが、AARRRを活用することで、ただ流入を増やすだけではなく、その流入を如何に質の高いものに変え、最終的に収益に繋げるかというプロセス全体を最適化することができます。
本コラムを通じて、AARRRというフレームワークの基本的な理解を深め、ECサイトの成長戦略を考える際の一助となれば幸いです。各ステップにおいて設定されたKPIに注目し、それぞれの目標に対して具体的な施策を講じることで、事業の成長を実感できるはずです。