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行動経済学に基づいたECサイト制作に活かせる5つのテクニック
2023
.08.02
行動経済学という学問分野は「私たちが日々の生活の中でどのように意思決定するか」や、「意思決定がそれまでの経験や環境にどのように影響するのか」を紐解く学問です。プロダクトデザインの現場を始めとして、さまざまな業種で行動経済学は重視されており、WEB制作においても行動経済学を活かしたテクニックが応用されています。
特にECサイトは「商品の購入」という明確なゴールが存在し、企業の売上に直結する役割を担っているため、ユーザーの「商品を購入する」という意思決定は極めて重要であり、行動経済学や心理学に基づいたWEBデザインや導線の設計が重要となります。
今回のコラムでは、行動経済学に基づいたECサイト制作に活かせるテクニックをいくつか紹介します。ECサイトを使った売り上げの最大化を目指すWEB担当者の方や、WEB制作会社でECサイト制作を任されるディレクター、デザイナーの方はぜひ参考にしてみてください。
【目次】
1. きれいで見た目の整ったWEBデザインにする
2. テキストやビジュアルを使って強い権威を示す
3. ユーザーに「自分ごと」だと思わせる
4. ユーザーの損失回避性を促す
5. 商品の口コミやレビューを開示する
6. 今回のまとめ
きれいで見た目の整ったWEBデザインにする
当たり前なことではありますが、素人が作った雑然としたホームページがユーザーに信頼される可能性は極めて低いです。ECサイトであれば「商品の購入」というユーザーにとってハードルの高いアクションが、コンバージョンであり、サイトのゴールとなります。ユーザーがホームページを見て、直感的に「信用できる」と思えるデザインでなくてはなりません。個人の趣味嗜好に関わらず、詐欺師が運営するような悪質なホームページは、見た目が悪いものだと潜在的に私たちは思っています。
ECサイトを制作する際には、閲覧するユーザーが直感的に「信用できるホームページだ」と思えるように見た目の整ったWEBデザインにしましょう。
テキストやビジュアルを使って強い権威を示す
ユーザーは商品を買おうとする際、名誉ある人物が使っていたり、公的な資格や認可を得たものを信用します。LPなどでよく見る手法ですが「大手通販サイト口コミランキング1位!」といったメダルを模したようなあしらいは、商品の権威をアピールするためのものだと言えます。「有名インスタグラマーが使っている!」「芸能人が使っている!」などのセリフも有効でしょう。
また商品のイメージビジュアルを使って、暗に商品の権威を示すこともできます。例えば、スーツを着た仕事ができそうなビジネスマンに商品を持たせることで「しっかりしてそう」「当てにできる感じがする」と、商品に対する信頼感をアピールすることができます。コピーやビジュアルを使って、商品の権威が伝わるようにデザインしましょう。
「大手通販サイト化粧品部門 第1位獲得」とテキストを入れることで商品の権威を示している
スーツを着た男性が腕時計をつけている写真を使い、「しっかりしてそう」な印象を与えている
ユーザーに「自分ごと」だと思わせる
誰彼構わず発信されているメールよりも、自分の名前がタイトルに含まれているメールはより興味を持たれ、閲覧される傾向にあります。メルマガの登録を促しているECサイトを運用する場合は、「会員限定」「(会員名)様限定」といった、自分に対して発信されていることが伝わるようなタイトルにすると効果的です。
逆に、不特定多数に送っていると思われるようなタイトルはスパムだと思われてしまう場合があります。「抽選に当たりました」などの文言が入っていれば、より怪しさが増してしまいます。こういった内容のメールを送る場合は、会員の名前をタイトルに含めるなど、直感的に「信用できる情報だ」と思ってもらえる工夫が必要です。
メールを使ってECサイトに誘導する場合は、スパムだと思われないように注意してタイトルを考えるようにしましょう。
ユーザーの損失回避性を促す
人は得られることよりも失ってしまうことの方に強く反応し、苦痛を感じます。損失を回避しようとする心理作用を「損失回避性」と言い、心理学・行動経済学者のKahnemanとTverskyは「失うことは得ることのおよそ2倍の動機づけになる」と提唱しています。
期間限定セールを行うECサイトを見たことがあるかと思いますが、これもユーザーの損失回避を促すテクニックだと言えます。
例えば「Amazonや楽天などの大手ECサイトで、期間限定セールを機に要らなかったはずのものを買ってしまった」という経験がある方もいるのではないのでしょうか?これは「セール期間で、商品が安くなっている間に買わないと損をしてしまうのではないか」という損失を回避しようとした心理作用が引き起こした結果だと言えます。
期間限定のお菓子を買ってしまう心理や、利用期限の迫ったポイントをECサイトなどで無理して使おうとするのもこの心理作用が働いています。
商品を購入することで得られるメリットよりも、購入しないことで失ってしまう損失にフォーカスを当てることで、ユーザーの損失回避を促すことができます。
キャッチコピーやバナーデザインなど、ECサイトのさまざまな部分で応用することができるテクニックなので覚えておきましょう。
損失回避を促す効果的なテキスト例
・期間限定30%OFF!
・売り上げ合計5000円以上で20%OFF!
・まもなく失効するポイントがあります
損失回避を促すコピーは「もしかしたら損をしてしまうかも」といったネガティブな感情が生まれますが、ネガティブな感情を生まないためにそもそも商品を購入しないといった意思決定につながってしまう可能性がある点には注意が必要です。
購入しないデメリットを提示するテクニックは、よく見られるものですが、ユーザーに不快感を与えると逆効果になってしまう場合もあります。あくまでショッピングが楽しいと思える範囲内で損失回避性を利用するようにしましょう。
商品の口コミやレビューを開示する
商品の口コミやレビューを見て商品を購入すべきか判断するというユーザーは多いです。行動経済学では「ピア効果」といって、同じ目的を持ったユーザーがコミュニケーションを通して、互いに刺激しあい、学力などのスキルを高める効果があります。ECサイトにおける口コミやレビューは、ユーザーによって投稿され、数が多くなればなるほどユーザーの理解度を深めていくこととなります。インフルエンサーなど影響力を持った人物の口コミともなればユーザーに興味を持たせるだけでなく、認知の拡大という側面においても重要な役割を果たすでしょう。こうした口コミやレビューは、信頼できる情報として扱われるため、他のユーザーの購買意欲を駆り立てることができます。
昨今ではInstagramやX(旧Twitter)などのSNSを使って商品の口コミやレビューを発信するユーザーも少なくありません。そういった口コミやレビューは、ECサイトを通してユーザーに開示することで、商品を購入する後押しになる可能性があります。悪い口コミやレビューはかえって逆効果となってしまいますが、良い口コミやレビューは積極的にアピールしていきましょう。
今回のまとめ
今回のコラムでは行動経済学に基づいたECサイト制作に活かせるテクニックをいくつか紹介しました。これからECサイトを制作しようと考えている方やデザイナー、ディレクターの方はぜひ参考にしてみてください。